東北ボランティア 陸前高田その4
司法書士という資格を目指す前のことですが、私は、「司法書士」っていう職業を あまりよく知りませんでした。
なんか、黒い腕カバーをして、書類にはんこ押しているようなイメージ
そんな私なので、「司法書士巡回相談」といって、どれだけ相談者が来てくれるかなあと若干心配でしたが、相談会には開始前から相談者が来てくださって、大あわての会場設営となりました。(もちろん、会場設営も自分たちでやります。)
私の最初の相談者は、年配の男性。
家が流され、財産も流され、全てが流されたのに、ニコニコされていて、なんだか、私のほうが泣きたくなってしまいました。
大変な中、同居中の息子さんが仕事で忙しいので、代わりに息子さんのメモを持って、一つ一つ手続きをされて、やっとここまできた(登記の事まで考えが及ぶようになった)とのこと。
相談としては、権利書も流されたので、どうしたらいいでしょうかというもの。
土地について言えば、権利書がなくなっても、権利(所有権)がなくなる訳ではありません。
【補足1】
権利書は、所有している不動産を処分(売買や抵当権の設定など)するときに必要になりますが、その場合に権利書がなければ、司法書士による本人確認・事前通知による方法・公証人に証明をしてもらう方法などの方法で権利書がないことを補うことができます。
なお、紛失した権利証を再発行することはできませんが、不正な登記がされることを予防する方法として、不正登記防止申出制度がありますし、また、登記識別情報通知書を紛失された場合には、失効の手続きも可能です。
また、建物については、滅失登記の必要がありますが、震災によって建物がなくなった場合については、職権による建物の滅失登記処理も予想されており、現状、確定していないので、少し様子を見ていてほしいとお伝えし、息子さんへもメモ書きで、法務局・岩手県司法書士会・岩手県の土地家屋調査士会の連絡先をお渡しました。
【補足2】
土地についても、境界のずれや杭が流されたという場合もあり、こちらも、現地の土地家屋調査士会にお尋ねになると良いと思われます。
本当に、一期一会を実感し、なんども頭を下げて帰られる男性を見送りながら、司法書士やってて良かった (「司法書士試験に受かって良かった!」ですかね。)としみじみ思った瞬間でした。
権利書が流されたという相談は、やはり数が多かったです。
「登記は司法書士」って、思っていただいているんですね。 感謝です。
そんなこんなで、頭と心がいっぱいで、息子のことをすっかり忘れていて、出校日、無断欠席させちゃいました。 あ~